『祈りに学ぶ·117曼荼羅③』

2021年5月4日

曼荼羅(マンダラ)は見方によっては、きわめて観念的な密教美術の一種であり理論であるのです。しかしいったん表現の体系を音や香りの世界に解き放つと、まるで死の世界からよみがえった生きもののように、不思議な暗示を帯ながら自由に大空を飛びまわるのです。

☆曼荼羅(マンダラ)を見つめる者が変身する瞬間が実はここにある。(真鍋俊照氏)★

空海は在世中にすでに千数百年後の情報化社会を予想していたのか、と東大·名誉教授の渡辺茂さんの提唱するシステム工学からもマンダラ理論と共通する重要な要素がいくつもあることに驚きを覚えるのです。(空海著·十住心論)

両界曼荼羅は正面に向かって右、東側に掛けるのを胎蔵界、これは女性的原理にもとづく理の世界、あるいは物質的な世界観を表し、西側に掛けるのを金剛界、男性的原理にもとづく智の世界、あるいは精神的な世界観を表しています。

マンダラの両界すなわち「理と智」は表裏一体の関係なのです。