農作物のチカラ

「農作業から人生を学ぶ、人生を考える」という教義を成就寺では説いている。この教義の中に、畑にトマトやキュウリなどの初物ができると真っ先にご本尊様に供え、そこからさげてきて皆でわけていただくという教えも伝えている。何か大きな力の前に敬虔にひざまずき、それに守られ、それによって生きるという筋金が一本、動かないものとしてなくてはならないからだ。
自給自足の寺として農作業に汗を流し、作物の収穫に対しての感謝と食べられるありがたさを学ぶことが大切である。

日常生活の「食」

病気になるというのは、日常生活の「食」のあり方に原因が潜んでいるということで、一九九六年十二月に「成人病」から「生活習慣病」に変わり、食習慣と運動習慣の再見直しがなされた。

健康的な生活習慣によって病気の発生を未然に防ぐ一次予防を重視しているが、精神性が欠如していると考える。

作物や生産者に感謝、料理人への感謝、食べられる自分への感謝がないのである。その結果として「必要以上の食事を摂っている人が多い」からメタボリックシンドロームと言う意 味不明の症状も現れるのである。

「身心一如」とは心の安定こそが、身体の調子を正常にする、言い換えれば、食の摂り方に注意せよ、との教えである。

寺の食事は、基本的には野菜が中心となった食習慣、一汁一菜とは言わないが「食べ方」を考える だけでも、心も身体も整ってくると考える。